2017年03月08日

聴かずに死ねるか(87)Trevor Exter - And I Love Her

 ウッドベースのようにチェロをつま弾き、さらに歌まで歌ってしまうのがニューヨーク生まれのTrevor Exter(トレバー・エクスター)。アンプにつながれたチェロは見事なベースサウンドだし、歌も渋いったらありゃしない。

 中でも秀逸なのは、華麗なチェロのピッチカートで始まる『And I Love Her』。ご存知、『A Hard Day's Night(ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!)』(1964年)に収録されたThe Beatles(ビートルズ)の曲だ。

 バラード風のゆったりした曲調は、派手さはないが情感たっぷり。しかも原曲では、Paul McCartney(ポール・マッカートニー)のベースギターしかアンプを通していないので、はんなりとした雰囲気が特徴。

 Trevorのチェロと歌は、はんなりはしていないものの、どことなく孤高というか憂愁というか、独特の雰囲気を醸し出していて、聴いていて心地よい。

▲Trevor Exter『And I Love Her』。チェロに魅せられたTrevor少年は、やがてブラジルに渡り、多くの若手音楽家と交流を深めた。ニューヨーク「Rockwood Music Hall Stage 2」(2013年)での映像。

▲The Beatles『And I Love Her』。映画『A Hard Day's Night』(1964年)でのシーン。さすが本家本元の演奏。


▲Harry Connick Jr.(ハリー・コニック・ジュニア)とCarla Bruni(カーラ・ブルーニ) 『And I Love Her』。Harryはニューオリンズ出身の歌手、ピアニスト、俳優。Carlaは元フランス大統領サルジコ夫人。アルバム『Your Songs』(2009年)に収録。

▲Freddie McKay(フレディ・マッケイ)『And I Love Her』。レゲエの時代を築いたジャマイカ出身の歌手。アルバム『Fire Is Burning』(1976年)に収録。

▲Mary Roos(メアリー・ルース)『Für Uns Beide (And I Love Her)』。ドイツのポップ歌手。もちろん歌はドイツ語。なんだか力が入る。アルバム『Stern Musik』(1970年)に収録。

▲Renée Claude(ルネ・クロード)『Et Te Voilà (And I Love Him)』。カナダのケベック州生まれ。だからフランス語で歌う。アルバム『Renee Claude』(1967年)に収録。


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2017年03月04日

聴かずに死ねるか(86)Four Freshmen – Somebody・・・

 男性ボーカルバンドカルテットのFour Freshmen(フォー・フレッシュマン)の結成は1948年。その名の通り、大学の新入生4人組だ。

 世間の注目を集め出したのは50年代中盤。ところが以降は人気沸騰とはいかず、60年代になると、ロックバンドの台頭でビッグバンドとともに主流から外れてしまった。

 でも彼らはしぶとい。時代を経るごとに「新入生」を入れ、メンバーの新旧交代を図りつつ生き延びてきたのだ。ずばり、Four Freshmenというネーミングが功を奏したというわけ。「いつものメンバーとちゃうやんか」と言われても「フレッシュメンやさかい、かんべんな」で済んでしまう。

 というわけで、60年以上にわたり、約45枚のアルバムと70枚のシングルをリリースし続け、グラミー賞を含め6つの栄誉を受けている。

 そんな彼らが歌う『Somebody Loves Me』(2006年)は、ご存じアメリカの作曲家、ピアニストGeorge Gershwin(ジョージ・ガーシュウィン)が1924年に出版した曲。Ballard MacDonald(バラード・マクドナルド)とBuddy DeSylva(バディ・デシルバ)が歌詞を付けた。

 名古屋弁に訳せば『どなたさんか、わからんけどナモ、わたし恋されとるんだわ』だが、「どたなさん」かというと「ナニしてりゃ〜す人か、わかれへんがね♪」だから、プラス思考の明るい内容。縷々心情をひけらかし、内にこもりがちな今どきのポップスとは大違いなのである。

▲Four Freshmen『Somebody Loves Me』(2006年)。日本流に表せば22期生(2001 – 2013)。メンバーはBrian Eichenberger(guitar)、Curtis Calderon(trumpet)、Vince Johnson(base)、Bob Ferreira(drums)。ラスベガス「Suncoast Hotel」でのライヴ映像。

▲映画『Rhapsody in Blue(ラプソディー・イン・ブルー)』(1945年)で『Somebody Loves Me』を歌うTom Patricola(トム・パトリコラ)とJoan Leslie(ジョーン・レスリー)。Tomのダンスは、⇓ で紹介するGene Nelson(ジーン・ネルソン)と比較されがちだが、体形が異なるだけだと思う。

▲映画『Lullaby of Broadway(ブロードウェイの子守歌)』(1951年)。Doris Day(ドリス・デイ)とGene Nelsonのタップダンスのあと、Dorisが歌う『Somebody Loves Me』。Gershwinは1937年に脳腫瘍で死んでいるが、享年38だった。

▲アフリカ系アメリカ人のジャズシンガーソングライターAlberta Hunter(アルバータ・ハンター)が歌う『Somebody Loves Me』。後年、看護婦をするなど波乱万丈の生き方をした彼女の歌いぶりは、心に響く。

▲Chris Connor(クリス・コナー)が歌う『Somebody Loves Me』(1957年)。演奏はMilt Jackson(ミルト・ジャクソン/vib)、Stan Free(スタン・フリー/p)、Mundell Lowe(マンデル・ロウ/g)、 Milt Hinton(ミルト・ヒントン/b)、Ed Shaughnessy(エド・ショーネシー/ds)という豪華版。

▲Tony DeSare(トニー・デセア/Piano and Vocals)『Somebody Loves Me』(2012年)。7弦ギターを弾いているのはEdward Decker(エドワード・デッカー)。『Tony DeSare's show』(54 Below/New York City)で収録。


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2017年03月02日

聴かずに死ねるか(85)Claude Nougaro - Berimbau

 Berimbau(ビリンバウ)はブラジルの民族楽器だ。弓の下部に、共鳴器として乾燥して中身をくり抜いたヒョウタンが取り付けられていて、張られた弦をbaqueta(バケタ)と呼ばれる棒で叩く打弦楽器。音程の決定は石(ペドラ)、あるいはコイン(ドブラウン)で弦をすべらせて行なう。

 主にダンスのような格闘技カポエイラ(Capoeira)で使用されるが、それを自作曲に取り入れたのがギターの巨匠Baden Powell(バーデン・パウエル)。歌詞をつけたのが詩人、歌手、外交官、ジャーナリストなど多くの肩書を持つVinfcius De Morae(ヴィニシウス・ヂ・モライス)。タイトルは楽器名そのままの『Berimbau』(1963年)だ。

 ボサノヴァ調のリズミカルなサウンドは一世を風靡。海を渡ったフランスでは、シンガー・ソングライターClaude Nougaro(クロード・ヌガロ)がフランス語の歌詞に直した『Bidonville』(1966年)を発表。すぐに、ヨーロッパを中心にヒットした。

 決して美声とは言えないClaudeだが、渋さにおいては天下一品。残念ながら2004年3月、ガンで死去。享年74。

▲Claude Nougaro『Bidonville』。『Berimbau』と『Bidonville』、文字面は雰囲気酷似だが、フランス版は「スラム街」の意。「ビドン、ビドン〜♪」が耳に残る。おそらく1967年のTV映像。

▲Baden Powell『Berimbau』。自身の演奏。ギターでBerimbauの音を再現していて、繰り返し登場する。1967年の録音。

▲Astrud Gilberto(アストラッド・ジルベルト)『Berimbau』。イントロは本物のBerimbauの演奏。感情的にならないクールな歌い方が、逆に聴き手のテンションを上げている。

▲Mes Deux Moiselles(メ・ドゥ・モアゼル)『Bidonville』。Ghali Hadefi(ウッドベース)+Juliette Piguet(サックス)+Pascale gamonal(ヴォーカル)の3人組。雰囲気よし。

▲フランスのレゲエシーンで活躍するJahill(ジャヒル)の『Bidonville』。本場のレゲエとくらべ、かなり都会的だがグッド。アルバム『Paname Skank』(2014年)に収録。

▲Sylvain Luc(シルヴァン•リュック)『Berimbau』。Sylvainは知る人ぞ知るフランスのジャズ・ギタリスト。クールなのだが、秘められた熱情を感じる。1965年4月生まれの51歳。


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2017年02月28日

聴かずに死ねるか(84)Revathi Sankaran – Twinkle・・・

『Ah! vous dirais-je, Maman(あのね、お母さん)』は18世紀末のフランスで流行ったシャンソン・・・などと言われても「そんなん知らんがな」となってしまうが、メロディを聴けば一発で「よう知っとる」曲となる。

 その名は『Twinkle Twinkle Little Star(きらきら星)』。フランス語の詩の代わりに、イギリスの詩人Jane Taylor(ジェーン・テイラー)の英詩『The Star』を載せた童謡だ。

 その童謡をコミカルに歌うのはインドの女優Revathi Sankaran(リヴァティ・サンカラン)。おそらくテレビ番組の中だと思われるが、共演者も吹いてしまうほどのアドリブぶりが愉快。一度聴いてしまうと、以降はコレが頭の中に残ってしまい、可愛らしい童謡という感じではなくなってしまうのが残念だけど。

▲Revathi Sankaran『Twinkle Twinkle Little Star(Indian Desi Styles Version)』。あき竹城のインド版といったところか。声に張りもあり、実にダイナミック。

▲Diane Dassigny(ダイアン・ダシニー)『Ah, vous dirai-je, maman』。パリで開催された「Mozart Opera Rock – Concert」(2014年)での映像。

▲Jewel(ジュエル)『Twinkle Twinkle Little Star』。アメリカのシンガー・ソングライター。ギターサウンドのおかげで、清らかなウエスタンを聴いている感じ。

▲オルガン弾きのFirmin Decerf(ファーミン・ドセール)による『Improvisation sur Ah! vous dirai-je Maman』。シューマッハ聖ペテロ教会バストーニュ(ベルギー)での映像。

▲Eugen Cicero(オイゲン・キケロ)Trio『Ah! Vous dirais je,Maman』。アルバム『Eugen Cicero's Last Recording Swinging Piano Classics』(1996年)に収録。


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2017年02月26日

聴かずに死ねるか(83)Louane Emera – Maman

 Louane Emera(ルアンヌ・エメラ)はフランスの炭鉱業の中心地だったエナン=ボーモン育ち。人生を変えたのは、テレビの新人歌手発掘番組『The Voice(ザ・ヴォイス):la plus belle voix』に出演したこと。16歳だったLouaneは、プロ歌手デビューとともに役者デビューを果たすことになる。

 翌年、映画『La famille Bélier(邦題/エール!)』にポーラ役で主演。あらすじは「全員が視覚障碍を持つ家族のなかにあって、ポーラだけは健常者。手話で一家の通訳代わりをしていた。ところが音楽の教師から<パリの音楽学校へ推薦したい>と言われ・・・」。

 映画のエンディング、パリの音楽学校のオーディションで歌う『Je vole(私は飛ぶ)』(1978年)は、Michel Sardou(ミシェル・サルドゥー)の曲。若干、原曲の歌詞とは異なるものの、実に感動的。演技が認められたLouaneは、セザール賞とリュミエール賞(最優秀新人女優賞)を受賞。一躍、時の人となる。

 初アルバムは『Chambre 12(邦題/夢見るルアンヌ)』(2015年)。フランスのアルバムチャートで第1位を獲得したそうだが、収録されている『Maman』を聴くだけで1位も納得。かつての日本では、Sylvie Vartan(シルヴィ・バルタン)やFrancoise Hardy(フランソワーズ・アルディ)など、フレンチの香りがするポップスが流行していたが、このところさっぱりだったから、Louaneに期待してしまうのだ。

▲Louane Emera『Maman』。収録されているアルバム『Chambre 12』は、2016年5月に110万枚を売り上げた。1996年11月生まれだから現在20歳。これからが楽しみ。

▲映画『La famille Bélier(エール!)』の予告編。フランス本国では4週連続トップ、12週連続トップ10入り。動員数700万人という大ヒット映画。一昨年、日本でも公開された。

▲映画『La famille Bélier』のエンディング。パリの音楽学校のオーディションシーンだ。感動的。

▲APImusic『Maman』。youtubeで活躍するAPImusic。仔細は不明だが、雰囲気よし。


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