2017年07月22日

聴かずに死ねるか(96)松尾和子 – 恋のムード

 昭和34年、東京新宿。うたごえ喫茶「灯」はいつも満員。ガリ版刷りの歌詞本片手にロシア民謡などを歌うのだが、これが結構楽しくて、青少年&オジオバのたまり場になっていた。

 そんな頃、レコードデビューしたのが松尾和子。A面『グッド・ナイト』(松尾和子+和田弘とマヒナスターズ)、B面『東京ナイト・クラブ』(松尾和子+フランク永井)の、いずれもデュエットソングだ。

 発売当初はそれほどでもなかったのだが、翌年、『銀座の恋の物語』(石原裕次郎+牧村旬子)が大ヒットすると、引きずられるようにこちらもヒット。おかげで今どきの中高年なら、誰でも知っている曲となった。

 でもね、同じムード歌謡ならソロのほうがいい。中でも『恋のムード』(昭和37年)は逸品中の逸品。奇怪なメロディーとともに、地の底から湧き出るような松尾の声が響き渡るところなど、これぞムード歌謡の神髄といった塩梅なのだ。

 もっとも、この曲はB面。A面はテレビドラマの主題曲『七人の刑事(インストルメンタル)』。いずれも作曲は山下毅雄。『恋のムード』が奇怪なのは、流行歌には縁のないテンションコードを取り入れているから。

▲松尾和子『恋のムード』。当時、ラジオから流れていたのは『いつでも夢を』(橋幸夫+吉永小百合)、『可愛いベービー』(中尾ミエ)、『下町の太陽』(倍賞千恵子)など。時代は明るいハッピーソングを求めていたのかね。作詞は川内康範。

▲A面『七人の刑事』は、警視庁捜査一課の刑事7人の活躍を描く刑事ドラマの主題曲。警視庁の建物を空撮したオープニングで流れる。TBS系列で全国放送されたから、これも今どきの中高年なら誰でも知っている曲だと思う。

▲松尾和子『イパネマの娘』。美空ひばりが洋モノを歌ったときは、本場顔負けの圧倒的な迫力を感じたが、彼女の場合はそうでもない。上手いけど。アルバム『夜のためいき』(1966年昭和41年録音)に収録。

▲「ポスト松尾和子」と言われている真奈尚子の『誰よりも君を愛す』。ボサノバ調のアレンジが絶妙。ただし本家に似た雰囲気ではあるものの、夜のけだるさといったものはなく、透明感に満ちている。2007年発売のアルバム『逢 ai』に収録。


posted by sankiyou at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 聴かずに死ねるか
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/180406578

この記事へのトラックバック