2017年07月20日

聴かずに死ねるか(95)Rose - Sombre con

 Rose( ローズ)はフランス・ニース生まれ(1978年)のシンガーソングライター。もちろん本名ではなく、Janis Joplin(ジャニス・ジョプリン)の生涯を描いたアメリカ映画『The Rose』(1979年)に登場するヒロイン「Rose」から拝借。ホントはKeren Meloul(ケレン・メロウル)という。

 アルバム『Rose』(2006年)でレコードデビューしたのだが、まったくの無名だったにもかかわらず、またたく間にフランスのアルバムチャートに登場。最終的には5位まで上りつめたというからすごい。

 そのアルバムに収められているのが『Sombre con』。日本語にすると「陰鬱な詐欺」(Google翻訳)、「闇の野郎」(Baidu翻訳)となるから驚いてしまうが、要するに「このバカ!」ということ。若い世代は『pauvre con!(くそったれ)』のほうが身近らしいけど。

 軽やかなメロディーに鼻濁音たっぷりのフランス語が心地よく、何度聴いても気分はよろし。「このバカ!」なんだけどね。もちろん、作詞作曲はKeren Meloul(Rose)。

 ライヴではアコギをかき鳴らしながら歌うので、フレンチポップらしさがなくなってしまうが、それでもイイ感じ。できれば、流れるようなストリングスをバックに歌ってほしいけど。

▲Rose『Sombre con』。タイトルが「このバカ!」だから歌詞が気になるが、Google翻訳では「あなたの物理的として恩知らず あなたは彼の腕の中で育ちました ダニのように彼女をフィード♪」となるから笑ってしまう。

▲Nogent-le-Rotrou(ノジャン=ル=ロトルー)でのライヴ。同じ『Sombre con』とは思えないが、彼女にとってはこちらが本来なのだろう。2014年3月14日収録。

▲映画『The Rose』(1979年)の予告編。ヒロインRose(Janis Joplin)を演じたのはBette Midler(ベッド・ミドラー)。彼女が歌った主題歌『The Rose』はヒットした。


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2017年07月22日

聴かずに死ねるか(96)松尾和子 – 恋のムード

 昭和34年、東京新宿。うたごえ喫茶「灯」はいつも満員。ガリ版刷りの歌詞本片手にロシア民謡などを歌うのだが、これが結構楽しくて、青少年&オジオバのたまり場になっていた。

 そんな頃、レコードデビューしたのが松尾和子。A面『グッド・ナイト』(松尾和子+和田弘とマヒナスターズ)、B面『東京ナイト・クラブ』(松尾和子+フランク永井)の、いずれもデュエットソングだ。

 発売当初はそれほどでもなかったのだが、翌年、『銀座の恋の物語』(石原裕次郎+牧村旬子)が大ヒットすると、引きずられるようにこちらもヒット。おかげで今どきの中高年なら、誰でも知っている曲となった。

 でもね、同じムード歌謡ならソロのほうがいい。中でも『恋のムード』(昭和37年)は逸品中の逸品。奇怪なメロディーとともに、地の底から湧き出るような松尾の声が響き渡るところなど、これぞムード歌謡の神髄といった塩梅なのだ。

 もっとも、この曲はB面。A面はテレビドラマの主題曲『七人の刑事(インストルメンタル)』。いずれも作曲は山下毅雄。『恋のムード』が奇怪なのは、流行歌には縁のないテンションコードを取り入れているから。

▲松尾和子『恋のムード』。当時、ラジオから流れていたのは『いつでも夢を』(橋幸夫+吉永小百合)、『可愛いベービー』(中尾ミエ)、『下町の太陽』(倍賞千恵子)など。時代は明るいハッピーソングを求めていたのかね。作詞は川内康範。

▲A面『七人の刑事』は、警視庁捜査一課の刑事7人の活躍を描く刑事ドラマの主題曲。警視庁の建物を空撮したオープニングで流れる。TBS系列で全国放送されたから、これも今どきの中高年なら誰でも知っている曲だと思う。

▲松尾和子『イパネマの娘』。美空ひばりが洋モノを歌ったときは、本場顔負けの圧倒的な迫力を感じたが、彼女の場合はそうでもない。上手いけど。アルバム『夜のためいき』(1966年昭和41年録音)に収録。

▲「ポスト松尾和子」と言われている真奈尚子の『誰よりも君を愛す』。ボサノバ調のアレンジが絶妙。ただし本家に似た雰囲気ではあるものの、夜のけだるさといったものはなく、透明感に満ちている。2007年発売のアルバム『逢 ai』に収録。


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2017年07月24日

聴かずに死ねるか(97)Bobby Troup - My Blue Heaven

 昭和3年(1928年)、浅草オペラのボードビリアン二村定一(ふたむら ていいち)が歌ってヒットしたのが『私の青空』。同年、米国で大ヒットした『My Blue Heaven』の洋楽カバーだ。

「Heaven(天国)」を「空」としたのは作詞家の堀内敬三。日米とも家路を歌っているが、幸せいっぱ夢いっぱいのマイホームは日版では「せまいながらも 楽しい我家」、米版では「笑顔と 暖炉と 居心地のよい部屋」、なんだかほのぼのとしていて微笑ましい。

 それにしても、この時代に米国の大ヒットがすぐに日本でヒットするのは驚異的。豪華客船「秩父丸」が北米向け太平洋横断航路(横浜−サンフランシスコ)に就いたのは翌々年の昭和5年(1930年)、往復するのに1か月以上かかった時代だからだ。

 なお、米国で大ヒットを飛ばしたのはGene Austin(ジーン・オースティン)。テンポといい歌い方といい、華やかさを抑えた朴訥としたもの。大ヒットの翌年、まさか世界大恐慌が引き起こるとは思いもしなかったに違いない。

 で、今どきに聴きたいのは、大正7年(1918年)米国生まれのRobert Troup(ボビー・トゥループ)。昭和28年(1953年)に録音した『My Blue Heaven』は、アップテンポで明瞭な歌声が清々しく、家路が楽しくなりそうなのだ。

▲大ヒットから25年後の昭和28年(1953年)、Bobby Troupが歌った『My Blue Heaven』。Bobbyは俳優、ジャズ・ピアニスト、歌手、作曲家。テレビドラマ『Route 66』の主題曲を作曲したことでも知られている。

▲Gene Austin『My Blue Heaven』。レコード発売以降26週チャートイン、2週間あまり1位を持続。500万枚以上を売り上げたそうだ。もちろんゴールドディスクを受賞。テナー・ヴォーカルの元祖だ。

▲日本版『私の青空』。0:00〜二村定一、2:38〜エノケン(榎本健一)、4:55〜石川さゆり。それぞれ時代が異なるが、聴きごたえあり。原曲がいいんだろうな。

▲The Diamonds(ザ・ダイアモンズ)『My Blue Heaven』。南アフリカのビート・グループ。ヴォーカルはMike Shannon(マイク・シャノン)。昭和36年(1961年)発売のアルバム『COOL ROCK』に収録。

▲Norah Jones(ノーラ・ジョーンズ)『My Blue Heaven』。昭和54年(1979年)生まれの「ピアノ弾き語りジャズ歌手&ジャズ・ピアニスト、女優(Wikipedia)」。父親はインドのシタール奏者Ravi Shankar(ラヴィ・シャンカル)。米国在住だ。

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