2017年04月08日

聴かずに死ねるか(93)Chicha Libre - Gnossienne No.1

 Chicha(チーチャ/チチャ)は、60〜70年代に中南米ペルーで流行った音楽。トウモロコシを発酵させて造る安酒と同じ名前なのは、おもに出稼ぎ労働者に好まれたからなのだろう。

 チープなエレキ・ギターの響きに加え、これまたおどろおどろしいオルガンの音色・・・隣接するコロンビアのクンビアというリズムの影響を受けているらしいが、当時、日本で流行ったGSとは大違い。そこはかとなく郷愁をそそるサウンドは、一度聴いたら耳から離れない。

 そんなサウンドに魅せられたのがブルックリンの6人組Chicha Libre(チチャ・リブレ)。その名の通り、Chichaを前面に押し出したグループだ。

 面白いのは、当時の曲を再現するのかと思ったら、Vivaldi(ビバルディ)やRavel(ラベル)など、格式ばった古典などを料理してしまうところ。中でもErik Satie(エリック・サティ)のピアノ曲『Gnossiennes No.1(グノシェンヌ1番)』は、ただでさえ神秘的な響きが特徴なのに、見事にChichaに変身しているからアッパレ。

『Gnossiennes No.1』はSatieが24歳のときの作品。1番から3番の3曲は『3 Gnossiennes(3つのグノシエンヌ)』として有名なのだが、拍子記号も小節線も書かれておらず、要するに「お気の召すまま、気の向くまま、自由にやってんか」という挑発的な曲。見上げた根性を持った若造だったのである。


▲Chicha Libre『Gnossienne No.1』。なんだか怪しげなサウンドだが、親しみがわく。デビューアルバム『Sonido Amazonico』(2008年)に収録。

▲Pascal Roge(パスカル・ロジェ) 『Gnossienne No.1』。優雅で優しい演奏が魅力。アルバム『SATIE 3 Gymnopédies and Other Piano Works』(1984年)に収録。

▲メキシコの5人組Tocamundos(トカムンドス)『Gnossienne No.1』。ジプシースタイルなのだが、サルサやタンゴなど、ラテンアメリカのリズムも混じり合っている不思議なサウンド。

▲北野武映画『その男、凶暴につき』(1989年)のテーマ曲としてアレンジされた『Gnossienne No.1』。Satieの曲は映画に使われることが多い。

▲フランスのアコーディオン奏者Richard Galliano(リシャール・ガリアーノ)の『Gnossienne No.1』。トランペットのPaolo Fresu(パオロ・フレス)との絡みが秀逸。アルバム『MARE NOSTRUM II』(2015年)に収録。

▲トルコのTheremin(テルミン)奏者Cihan Gulbudakの『Gnossienne No.1』。Cihanはイスタンブールに住む1985年生まれの32歳。違和感なし。


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2017年04月12日

聴かずに死ねるか(94)Black Eyed Peas - Mas Que Nada

 Black Eyed Peas(ブラック・アイド・ピース)はアメリカの4人組ヒップホップ・ミクスチャーグループ。今どきの中高年には馴染みが薄いかもしれないが、若者に絶大な人気があり、ヒップホップシーンの中核的存在だった。

 残念ながら2011年に無期限の活動休止を宣言したため、多くのファンをがっかりさせたのだが、このところ再結成の動きがあり、動向に注目。もっとも、全員オーバーフォーティなんだけどね。

 そんな彼らが、ブラジル音楽の巨匠Sergio Mendes(セルジオ・メンデス)とコラボしたのが『Mais Que Nada(マシュ・ケ・ナダ)』。Jorge Ben(ジョルジ・ベン)の初アルバム『Samba Esquema Novo』(1963年)に収録された曲だ。1989年以降はJorge Ben Jor(ジョルジ・ベンジョール)と改名してるけど。

 おもにブラジルでヒットした『Mais Que Nada』だが、世界的大ヒットに押し上げたのはSergio Mendes。
自らのアルバム『Sergio Mendes & Brasil'66』(1966年)に収録されたカヴァーが人気に火をつけたのだ。だから世間では、Jorge Benの曲であることを知らない人も多いらしい。

 で、熱烈なSergio MendesファンだったBlack Eyed Peasのリーダーwill.i.am(ウィル・アイ・アム)は、「メンデスはん、共同で作らへんか」と持ちかけ、出来上がったのがコラボ版『Mais Que Nada』(2006年)。

 曲の骨組みはSergio Mendesだし、Black Eyed Peasのラップ具合もほどほどだから、おそらく今どきの中高年でも、結構、好きになると思う。

▲Black Eyed Peas『Mas Que Nada』。Sergio Mendesとのコラボ版だ。アメリカのテレビネットワークNBCでのライヴ映像。アルバム『Sergio Mendes Timeless』(2006年)にも収録されている。

▲本家Jorge Benの『Mais Que Nada』(1963年)。初アルバム『Samba Esquema Novo』(1963年)に収録された曲。現在はJorge Ben jorと改名。

▲Anna Torres(アンナ・トーレス) 『Mais Que Nada』。ブラジルの女性シンガー。ちょとばかりベタつく歌い方だが、雰囲気はサイコー。オムニバス・アルバム『Essential Lounge Music by Carlos Campos & Friends』(2014年)に収録。

▲Al Jarreau(アル・ジャロウ)『Mais Que Nada』。どんな曲でも、この人が歌うと躍動感があふれるから不思議。残念ながら、先月、死去。享年76。ピアノは、先天性疾患による障害を克服したフランスのMichel Petrucciani(ミシェル・ペトルチアーニ)。

▲The Idea Of North(アイデア・オブ・ノース)『Mais Que Nada』。オーストラリアの4声アカペラグループだ。結成は1993年。オーストラリアのブリスベン「Powerhouse(パワーハウス)」でのライヴ映像(2006年)。DVD『The Idea Of North ‎– Live At The Powerhouse』(2007年)に収録。

▲The Troubadours(ザ・トルバドールズ)『Mais Que Nada』。来日公演もしたことがあるイギリスのロックバンド。いったん2009年に解散したのだが、2011年ごろから復活の兆しあり。フランスのニースで路上演奏している映像。


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