2016年11月02日

聴かずに死ねるか(54)Rodolfo Aicardi - Che Vuole Questa・・・

 記憶の片隅に埋まりかけていた名曲が再ヒットするのは嬉しいのだが、問題は「きっかけ」。

 ちょっと前までは、Peppino Gagliardi(ペピーノ・ガリアルディ)が歌うイタリア映画『ガラスの部屋』(1970年)の主題歌『Che Vuole Questa Musica Stasera』を聴けば、主演のRaymond Lovelock(レイモンド・ラヴロック)の面影がふつふつと脳内に浮かび上がってきたのに、今では貧相なヒロシ。

 どうしてくれるんだ・・・と言いたいところだが、どうしようもないからシャクにさわる。そんなときは、コロンビア出身のシンガーソングライターRodolfo Aicardi(ロドルフォ・アイカルディ)の歌を聴こう。

 多少、雰囲気は異なるものの、あきらかに『ガラスの部屋』だし、脳内にヒロシは浮かび上がってこない。哀愁とか悲哀などという華奢なものとは無縁で、ぐいぐいと迫ってくるパッションを感じるのはスペイン語だからか。

▲Rodolfo Aicardi『Che Vuole Questa Musica Stasera』。Rodolfo y su Tipica(ロドルフォ・イ・ス・ティピカ)のリーダー。これからでも遅くはない。ヒロシはこっちを使うべきだ。

▲Peppino Gagliardi『Che Vuole Questa Musica Stasera』。元々はアコーディオン奏者。自分のバンドを持っていのだが、ヴォーカルが気にらず、自分で歌うようになったらしい。正解。

▲岸洋子『ガラスの部屋(Che Vuole Questa Musica Stasera)』。「朝露〜♪」で始まる日本語歌詞に違和感なし。やっぱり岸恵子は、ええね。

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2016年11月04日

聴かずに死ねるか(55)藤圭子 - 港が見える丘

 昭和21年、「新人歌手コンクール」(ビクター主催)に優勝した平野愛子は、翌22年に『お妙子守歌』でデビュー・・・鳴かず飛ばず。ところが、次に出した『港が見える丘』『君待てども』(同23年)が大ヒット。一躍、トップ歌手となった。

『港が見える丘』の作詞・作曲は東辰三。本名は山上松蔵、東京深川生まれ = 江戸の辰巳生まれということで「あづま たつみ」がペンネーム。

「省線の中でフトした拍子に曲ができ、これに詞をくわえていったもの」だというから、服部良一の『青い山脈』(昭和29年)と同じきっかけ。もっとも、同じ省線でも東京と大阪の違いがあるけど。

 多くの女性歌手にカヴァーされた『港が見える丘』だが、いずれも情感あふれんばかりの熱唱で、少々、食傷気味。そんな中、サラリと歌う藤圭子は実にクール。

 ザ・ピーナッツ『手編みの靴下』(昭和37年)のベースになったのはこの曲。さらに4年後、園まり『逢いたくて逢いたくて』は、『手編み・・・』の作詞、編曲をやり直したものだ。知らなんだ。

▲藤圭子『港が見える丘』。昭和45年10月、渋谷公会堂で収録。ベタつくことなくサバサバした歌い方が、逆に、たぎるような思いを感じさせる。

▲平野愛子『港が見える丘』。当時、「若きブルースの女王」と呼ばれていたが、残念ながら、以降のヒット曲なし。

▲ザ・ピーナッツ『手編みの靴下』。昭和37年12月発売。作詞/竹内伸光・岩谷時子、作曲編曲/宮川泰。言われてみれば、『港が・・・』のエッセンスが随所に散りばめられている。

▲園まり『逢いたくて逢いたくて』。昭和41年1月発売。作詞/岩谷時子、作曲/宮川泰、編曲/森岡賢一郎。名曲が名曲を生み、さらに名曲となった。昔の人のダイナミックさに脱帽だ。


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2016年11月06日

聴かずに死ねるか(56)Cliff Richard - Sentimental Journey

 多くの歌手がカヴァーしている『Sentimental Journey(センチメンタル・ジャーニー)』の邦題は『感傷旅行』。

 なんだか自己陶酔の極みのような感じだが、実はそうではなく、都会に出たのはいいけれど、やがて望郷の念にかられ、有り金はたいて列車で故郷を目指すといった歌詞。もちろん、「伊予はまだ♪」とも異なるけど。

 Les Brown And His Band Of Renown(レス・ブラウン楽団)+専属歌手Doris Day(ドリス・デイ)によるレコード(1945年)がミリオンセラーになったのは、第二次世界大戦が終結し、兵士たちの帰郷願望がピークに達したころだったから。

 その意味でCliff Richard(クリフ・リチャード)の『Sentimental Journey』は、帰郷を心待ちにする新兵が歌っているようで心地よい。Frank Sinatra(フランク・シナトラ)もいいのだが、1915年生まれだから初々しさに欠ける。

▲Cliff Richard『Sentimental Journey』。アルバム『Listen to Cliff』(1961年)に収録。Richardは1950年代に活躍したイギリスのロックバンドThe Shadows(シャドウズ)のヴォーカル。

▲Doris Day『Sentimental Journey』。初録音当時のものではなく、ラジオショーのために1952年に録音されたもの。力の抜き加減がいい。

▲Julie London(ジュリー・ロンドン)『Sentimental Journey』。アルバム『Julie at Home』(1960年)に収録。感じがいいったらありゃしない。実に上品。

▲The Chordettes(ザ・コーデッツ)『Sentimental Journey』。やっぱええね。1961年に解散してしまったグループだが、いまだに新鮮。

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2016年11月08日

聴かずに死ねるか(57)葛蘭(グレース・チャン) - 胸の振子

 妙な曲名だが、作詞がサトウハチローだから納得。でも、何度聴いても「胸の振子が鳴る鳴る〜♪」に違和感がある。振子だと、ドキドキではなくチックタックだもの。

 作曲は服部良一。同時期、東辰三の『港が見える丘』がヒットしているが、いずれもモダンで優雅。配給すらままならなかった時代だったのに、作った人もエライがヒットさせた大衆もエライ。

 いまだに多くの歌手にカヴァーされているのは、歌い心地がいいからだと思う。でも、女性演歌歌手が多いのはなぜなんだろ。霧島昇でヒットしたのだから、男性歌手が続いてもよさそうなのに。

 というわけで、妙にベタついた歌い方をする女性演歌歌手ではなく、昭和30年代に活躍した香港の女性歌手葛蘭(グレース・チャン)が歌う『尋夢曲(シンモンチュウ)』がベスト。もちろん『胸の振子』の中国語バージョン。

▲葛蘭(グレース・チャン)『尋夢曲』。1960年4月発売のシングル盤。まるでオペレッタのアリアのような感じがいい。昭和28年、銀幕デビュー。歌謡映画の女王として君臨していたが、同39年に引退。

▲霧島昇『胸の振子』。昭和23年5月発売。東京タイムスに連載されたサトウハチローのコラム『見たり 聞いたり ためしたり』」を新東宝で映画化したときに挿入歌に使われた。古色蒼然とした雰囲気だが、朗々とした歌いぶりが心地よい。

▲石原裕次郎『石原裕次郎』。今どきの中高年なら、これを最初に聴いたかも。軽〜く歌っているのに、心にジンとくる。中間部に原曲のイントロが登場する。

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2016年11月10日

聴かずに死ねるか(58)Diana Krall - Cry Me A River

 女の「僻み」「嫉み」「妬み」「辛み」といった、時には恋の薬味としては効果的な恨み節も、極端になり過ぎると、ミもフタもなくなってしまうから厄介。

 ジャズ・ヴォーカルのスタンダード曲『Cry Me A River』は、恋人のことを想って泣くのではなく、これまで散々泣かされてきたから、今度はオマエが川のように泣くがいい」といった内容。名古屋弁に綴ると以下のようになる。

なぁ〜にぃ、あんた、一晩中泣いとったんかね
そんなら、川みてゃ〜に涙出して泣きゃぁ
あたしもよ〜、あんたのために川みてゃ〜に泣かされたがね
あんた、あたしを裏切って捨てたこと覚えとる?
今さら、あやまる気持ちがわからんでかんわ
だで、川みてゃ〜に、よ〜け泣きゃぁ
あたしだって、あんたにどれだけ泣かされたか、わからんでね

 この恨み節を、妖艶に歌うのがカナダ生まれの女性ジャズ・ピアニスト、歌手のDiana Krall(ダイアナ・クラール)。この人に言われたら、一晩中どころか1週間ほど泣き続けたっていいと思っちゃうのだ。

 1955年にJulie London(ジュリー・ロンドン)がデビュー録音、またたく間に大ヒットとなり、Julieは一躍スターダムにのし上がった。

▲Diana Krall『Cry Me A River』。2001年9月、パリのオランピア劇場で収録。Dianaの旦那はイギリスのミュージシャンElvis Costello(エルヴィス・コステロ)。Elvisは3度目の結婚だけど。

▲Julie London『Cry Me A River』(1955年)。伴奏のギターBarney Kessel(バーニー・ケッセル)+ベースRay Leatherwood(レイ・レザーウッド)がバツグン。さらにJulieの歌声だから、ヒットするのは当たり前かも。

▲alison moyet(アリソン・モイット)『Cry Me A River』。元Yazoo(ヤズー)のヴォーカル。情感こもる歌い方だが、ベタつかずカッコよし。

▲美空ひばり『Cry Me a River』(1961年)。ひばり27歳のときの録音。日本語歌詞なのが残念。「川みたいに泣け」ではなく「初恋のせつない思い出」だもの。バックは原信夫とシャープ・アンド・フラッツ。

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