2016年10月02日

聴かずに死ねるか(42)美空ひばり – Stardust

 NHK「素人のど自慢」の審査員だけでなく、詩人で作詞家のサトウハチローも、歌のうまい加藤和枝のことを「こまっしゃくれた子ども」と評価した。今どきの言葉なら「ちょ・・・ガチでクソガキ」。

 昭和23年9月、日劇小劇場出演を機に、加藤和枝は美空ひばりとなる。11歳のときだ。

 その後はトントン拍子。歌謡界のビッグスターへの道を歩むことになるのだが、一時、母親の過剰なマネージャーぶりに世間があきれ、偏見蔑視の格好の的となったこともあったから、それほどトントンでもなかったか。

 彼女の『Stardust(スター・ダスト)』は、アルバム『ひばりジャズを歌う〜ナット・キング・コールをしのんで』(昭和40年)のために録音されたもの。当時、ひばり28歳。聴けばわかるが、声に艶があり表現力もバツグンだ。

▲美空ひばり『Stardust』。昭和40年、コロムビア赤坂第一スタジオで録音。バックは原信夫とシャープス・アンド・フラッツ。

▲Nat King Cole(ナット・キング・コール)『Stardust』。 1950年、31歳のときの映像。

▲作曲者Hoagy Carmichael(ホーギー・カーマイケル)が演奏する『Stardust』。1927年の作品だ。

▲美空ひばり『Love! Misora Hibari Jazz & Standard Complete Collection 1955-1966』。あっと驚く40曲。


posted by sankiyou at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 聴かずに死ねるか

2016年10月04日

聴かずに死ねるか(43)Glenn Gould – 2part invention 8

 たとえ豪華絢爛な音を約束されたスタンウェイ&サンズでも、Glenn Gould(グレン・グールド)のノン・レガート奏法の前には面目丸潰れ。朴訥というか純朴というか、飾り気なしの質実剛健な音になってしまうから愉快。

 Bach(バッハ)の『2声のインヴェンション 第8番 ヘ長調 BWV779』も強くてたくましい。テーマと対旋律の2つの音がアクロバチックに交差し、うまい具合にお互いが干渉しあうところなど、まるで建物が順序よく建ち上がっていくような感じがする。

 加えてイケメンGouldなので、ジャケ写を見ながら聴くのが楽しいのだ。

▲Glenn Gould 『Invention No. 8 in F major』。元々は、Bachが長男Friedemann(フリーデマン)のために作曲した練習曲。

▲米国の鍵盤楽器奏者Ryan Layne Whitney(ライアン・レイン・ホイットニー)による『Invention No. 8 in F major』。使用楽器は「Israel Gellinger 1670」(フレットクラヴィコード)のレプリカ。バッハの時代には一般的な楽器。

▲Jacques Loussier Trio(ジャック・ルーシェ・トリオ)『Invention 8 in F』。1984年録音。さすがフランス人らしく、随所にエスプリがきいている。ノリもいい。

▲Eugen Cicero Trio(オイゲン・キケロ・トリオ)『Invention 8』。アルバム『Jazz Bach』(1985年)に収録。オルガンとの掛け合いが面白い。軽快である。


posted by sankiyou at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 聴かずに死ねるか

2016年10月06日

聴かずに死ねるか(44)青江三奈 – You'd Be So・・・

『You'd Be So Nice To Come Home To(ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ)』(1942年)はジャズのスタンダードナンバー。米国の作詞作曲家Cole Porter(コール・ポーター)の作品だ。

 直訳すれば「スイートホームに帰れたら、めっちゃ幸せ」。戦地に赴いた兵士が、故郷にいる女性への想いを綴ったもの。日本では『ユービーソー』で通じる。

 1943年、Dinah Shore(ダイナ・ショア)の歌がヒットチャート入り。以降、多くのジャズシンガーがレパートリーにするようになった。

 ただし、シンガーによって出来不出来が極端になってしまうから、罪作りな曲といっていい。出だしの「ゆ〜び〜そ〜♪」だけで実力がバレてしまうのだ。要するに、ひと昔前の「NHKのど自慢」でよく歌われた『イヨマンテの夜』と同じ。

 青江三奈『ユービーソー』は、さすがデビュー前にクラブ歌手をやっていただけあって、雰囲気よし。なにより、気張って歌わないところがいい。

▲青江三奈『You'd Be So Nice To Come Home To』。テレビ番組『BSジャズ喫茶』(平成8年)から。ワンコーラス目は先走って歌っているが、徐々に平静に。東京ユニオンもエライ。

▲Helen Merrill(ヘレン・メリル)『You'd Be So Nice To Come Home To』。1960年のライブ映像。当時、Helenは30歳。両手を後ろに組んで歌うところが可愛い。

▲Cheryl Bentyne(シェリル・ベンティン)『You'd Be So Nice To Come Home To』。米国のジャズ・コーラス・グループ「The Manhattan Transfer(マンハッタン・ランスファー)」の一員だが、ときどきソロ活動。アルバム『Talk of the Town』(2008年)に収録。

▲Nicki Parrott(ニッキー・パロット)& Les Paul(レス・ポール)Trio『You'd Be So Nice To Come Home To』。ベースと歌の二刀流。Iridium Jazz Clubでのライブ映像。


posted by sankiyou at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 聴かずに死ねるか

2016年10月08日

聴かずに死ねるか(45)Chet Baker - You'd Be So・・・

『You'd Be So Nice To Come Home To』は戦地に赴いた兵士の想いを綴った「男歌」だが、女性に歌われることが多いのは、ヒットさせたDinah Shore(ダイナ・ショア)が女性だったからか。あるいは、男性ではウソっぽくなってしまうからか・・・わからぬ。というわけで第二弾、男性ヴォーカリスト編。

 いずれにしても、それほど音の高低や起伏もなく、さらにスローテンポだから、女性にも男性にもむずかしい曲ではない。むずかしくないから誰にも歌えるというワケだが、逆にそれが落とし穴になるから要注意曲でもある。一生懸命、根を詰めて歌っても、聴き手に通じないことが多いのだ。

 そんな中で異彩を放っているのがChet Baker(チェット・ベイカー)。米国のヴォーカリストでもあるトランぺット奏者だが、その歌といったら、頼りなさげで女々しくて、大阪のオバちゃんなら「もっとしっかりせなアカン!」と言いたくなってしまう歌いぶり。

 で、『ユービーソー』。上手いんだか下手なのか、すぐには判明しないから聴き続けてしまうが、しばらくすると妙な快感が芽生えてくるから不思議。もちろんトランペットの部分はサイコー。

▲Chet Baker『You'd Be So Nice To Come Home To』。アルバム『As Time Goes By』(1990年)に収録。ただしChetは、1988年にオランダアムステルダムのホテルの窓から転落死している。原因は不明。

▲Frank Sinatra(フランク・シナトラ)『You'd Be so Nice to Come Home To』。Sinatraの存在は、落語でいえば古今亭志ん生のようなもの。これを聴いたら、ジャズシンガーに成る気が失せる。

▲Anthony Perkins(アンソニー・パーキンス)『You'd be so nice to home to』。米国の俳優。サラリと素直に歌うところが感じよし。アルバム『On a rainy afternoon』(1958年)に収録。

▲Bobby Darin(ボビー・ダーリン)『You'd Be So Nice To Come Home To』。1973年、37歳で死んでしまった米国の歌手。いい感じ。


posted by sankiyou at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 聴かずに死ねるか

2016年10月10日

聴かずに死ねるか(46)Woody Gipsy Band - You'd Be So・・・

 第三弾、ヴォーカル抜きの『You'd Be So Nice To Come Home To』、インストゥルメンタル編。

 歌がないおかげでメロディラインの扱いが自由だし、リズムもテンポも演奏者次第だから、ジャズマンのウデの見せどころ。

 Woody Gipsy Band(ウッディ・ジプシー・バンド)はミラノの5人組。ギター2本にウッドベース、それにカホンとピアニカというけったいな構成なのだが、そこから生まれるサウンドは、思いのほか重厚。

 ジプシー・スウィングのDjango Reinhardt(ジャンゴ・ラインハルト)を彷彿とさせるギターフレーズとコード進行が美しい。

▲Woody Gipsy Band『You'd Be So Nice To Come Home To』。5年前に結成された生まれたてのグループ。ロンドン「LeQuecumbar」で収録。

▲Art Pepper(アート・ペッパー)『You'd Be So Nice to Come Home To』。アルバム『Art Pepper Meets The Rhythm Section』 (1957年)に収録。米国コンテンポラリー・レコードの録音技師Roy DuNann(ロイ・デュナン)の神がかり的な録音で有名。

▲ベーシストPaul Chambers(ポール・チェンバース)の『You'd Be So Nice To Come Home To』。リーダーアルバム『Bass on Top』 (1957年)に収録。粗けずりで武骨な感じがするが、妙な安心感がある。1969年に肺結核で死去。享年33歳だった。

▲ギタリストJim Hall(ジム・ホール)の『You'd Be So Nice To Come Home To』。リーダーアルバム『Concierto(邦題:アランフェス協奏曲)』(1975年)に収録。控え目だが、緻密で知的な演奏。思わず聴き入ってしまう。2013年死去、享年82歳。


posted by sankiyou at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 聴かずに死ねるか