2016年09月02日

聴かずに死ねるか(33)Caterina Valente - Tout L'amour

 Caterina Valente(カテリーナ・ヴァレンテ)『Tout L'amour』(1959年)よりも先にザ・ピーナッツ『情熱の花』(1959年)を聴いたので、まさか本家がCaterinaだとは、当時、思ってもみなかった。要するにザ・ピーナッツ盤は洋楽カヴァー。

 さらに思ってもみなかったことは、原曲がBeethoven(ベートーベン)作曲のピアノ曲『Für Elise(エリーゼのために)』(1810年)だったこと。つい最近まで知らなんだ。

 Caterinaは1931年(昭和6年)、パリ生まれのイタリア人。歌手、ギタリスト、ダンサー、女優という稀有なマルチタレント。さらにフランス語はもとより英語、ドイツ語、スペイン語に精通しているマルチバイリンガルで、日本で発売されたEP盤ジャケットには「歌う通訳」とあった。

 当時のズゴイところは、Caterinaもザ・ピーナッツのカヴァーをしていること。『Tintarella Di Luna』は『月影のナポリ』(1960年)、『Vacance De L’amour』は『恋のバカンス』(1963年)のカヴァーなのだ。

 当年85歳。さすがのCaterinaも、今どきの日本歌謡からはカヴァーする気が起きないかも。

▲Caterina Valente『Tout L'amour』。1959年発売。原曲が『エリーゼのために』とは・・・。

▲ザ・ピーナッツ『情熱の花』。1960年(昭和35年)公開の日活歌謡映画『情熱の花』の一場面。ザ・ピーナッツとして登場した。

▲Caterina Valente『月影のナポリ(Tintarella Di Luna)』。1960年発売。ザ・ピーナッツのほか、森山加代子も歌っていた。「ちんたれ〜らりるっら♪」ね。

▲Caterina Valente『恋のバカンス(Vacance De L’amour)』。1963年発売。作詞/岩谷時子、作曲/宮川泰。名曲だと思う。

▲Dean Martin & Caterina Valente『One Note Samba』。1967年の映像。ボサノバギターが素晴らしい。

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2016年09月04日

聴かずに死ねるか(34)Billie Holiday - As Time Goes By

 アメリカ映画『Casablanca(カサブランカ)』(1942年公開)は、何度観ても泣ける映画だ。

 とくにクライマックスの飛行場から脱出するシーン。子どものころはイルザ(イングリッド・バーグマン)の涙にもらい泣きしていたのだが、大人になってからはリック(ハンフリー・ボガート)の切ない心持に涙腺がゆるみっぱなし。

 Billie Holiday(ビリー・ホリディ)が歌う『As Time Goes By』は、映画『Casablanca』の主題歌。Dooley Wilson(ドゥリー・ウィルソン)がピアノを弾きながら歌っていた曲。

 Peggy Lee(ペギー・リー)、Helen Merrill(ヘレン・メリル)、Frank Sinatra(フランク・シナトラ)などが歌っているが、何といってもココロに響くのはBillieの粘っこい歌声。原曲とは、若干、異なるメロディラインだが、それも含め心地よい。

▲Billie Holiday『As Time Goes By』。1944年録音。演奏はEddie Heywood And His Orchestra。

▲ 映画『Casablanca』の中で歌うDooley Wilson。もちろん『As Time Goes By』。

▲ジャズハーモニカのToots Thielemans(トゥーツ・シールマンス)とジャズバイオリンのStephane Grappelli(ステファン・グラッペリ)が奏でる『As Time Goes By』。

▲Ron Carter Quartet(ロン・カーター・カルテット)『As Time Goes By』。

▲Fats Domino(ファッツ・ドミノ)『As Time Goes By』。1957年の録音。喜劇『Casablanca』なのだ。

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2016年09月06日

聴かずに死ねるか(35)三橋美智也 - 炭坑節

 三橋美智也『炭坑節』(昭和31年)は280万枚を超えるミリオンセラー。だからかもしれないが、小さいころ、盆踊りのやぐらにくくりつけられたトランペットスピーカーから大音響で流れていたのは三橋美智也だった。

 福岡県に伝わる民謡が全国区になったのは戦後のこと。黒いダイヤとも呼ばれた石炭の増産がブームに拍車をかけたのだと思われる。「月が〜出た出た、月が出た〜♪」の歌い出しも、一度聴いたら棺おけに入るまで脳みそのヒダから消えぬ。

 ただし、同じ「月が〜♪」でも三橋は「つ〜き〜が〜♪」だが、三波春夫は「つきが〜♪」となる。さらに「出た〜♪」も異なるから愉快。このあたりの曖昧さが、たまらなく民謡らしくてイイ感じ。

▲三橋美智也『炭坑節』。昭和31年発売。作詞/高橋掬太郎、編曲/山口俊郎。さすが民謡歌手、すんなり耳に入ってくる。

▲三波春夫『炭坑節』。昭和51年、『北海盆唄』とのカップリング。浪曲師だったからか、説得力ある歌いぶり。

▲坂本九『Tanko bushi』。1963年発売。フランス盤EP(La Voix De Son Maître)『KYU SAKAMOTO』に収録。ラテン風。『SUKIYAKI』のような坂本節にはなっていない。

▲芙蓉軒麗花『ろうきょく炭坑節』。昭和30年発売。戦前・戦後を通して人気があった女流浪曲師。月が出るのは赤城山なのだ。「テケレッツのパッ」が話題になった。

▲フランキー堺&シティー・スリッカーズ『炭坑節』。昭和29〜34年に活躍したジャズコミックバンド。歌は植木等。

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2016年09月08日

聴かずに死ねるか(36)Tine Thing Helseth - Libertango

 Tine Thing Helseth(ティーネ・ティング・ヘルセット)はノルウェーのトランペット奏者。1987年生まれだから、本年29歳。

 7歳からクラシック畑を歩み続けてきた彼女は、「ノルウェー国際ソリストコンクール」(2004年)で最優秀賞を受賞したのを皮切りに、さまざまな国際コンクールで優秀な成績を収めている注目のプレーヤー。2011年には『BBC Music Magazine』で「Superstar of Tomorrow」に選ばれている。

 そんな彼女が演奏する『Libertango(リベルタンゴ)』は、アルゼンチンのバンドネオン奏者Astor Piazzolla(アストル・ピアソラ)が1974年に発表した作品。「libertad(自由)」+「tango(タンゴ)」で「Libertango」。混沌としたアルゼンチンの政局に嫌気をさし、イタリア滞在中に作曲した曲だ。

 聴けばわかるが、トランペットの音色が実にブリリアント。演奏姿勢を含め、どこまでも清々しく、一瞬でファンになってしまうに違いない。

▲Tine Thing Helseth『Libertango』。2013年の映像。指揮者(女性)の動きがスマイリー小原風で愉快。

▲Astor Piazzolla『Libertango』。本家本元、ピアソラの演奏。同名のアルバム『Libertango』(1974年)に収録。

▲Tine Thing Helseth & tango trio『Libertango』。小編成のコンボでもGood! 近ごろ流行りの、理屈っぽいジャズプレーヤーの奇をてらった演奏とは大違い。2009年の映像。

▲The Swingle Singers(スィングル・シンガーズ)『Libertango』。ミュージックビデオ『Libertango』から。

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2016年09月10日

聴かずに死ねるか(37)Florence Foster Jenkins – Queen…

 Florence Foster Jenkins(フローレンス・フォスター・ジェンキンス)はアメリカのソプラノ歌手・・・なのだが、音程もリズムも見事なまでに破茶滅茶。要するに音痴。

 音痴なのに歌手を名乗っていられたのは、自分のことを偉大な音楽家だと思っていたことに加え、大衆が面白がって拍手喝采したから。

 幼いころから音楽好きだった彼女は、しばらくはピアノ教師をして生活していたのだが、父親の死亡にともなう遺産相続によって歌手の道に猛進。リッツ・カールトン・ホテルでリサイタルを開くなど、一流歌手顔負けの活動を始めた。

 その絶頂ともいえるのがカーネギー・ホールでのリサイタル(1944年10月25日)。そのとき彼女76歳。何週間も前に切符は売り切れだったそうだ。

 公演の1か月後、心臓発作で死亡。残されたのは5枚の78回転レコードだった。

▲Florence Foster Jenkins『Der Hölle Rache(夜の女王のアリア)』。コロラトゥーラ・ソプラノの代表曲。「アハハハ〜♪」のところは8分音符の連続、しかも激しく音程が上下する。

▲Edda Moser(エッダ・モザー)『Der Hölle Rache』。ドイツのコロラトゥーラ・ソプラノ歌手。1968年にメトロポリタンオペラでアメリカデビュー。

▲The Ernie Kovacs Collection(アーニー・コバックス・コレクション)『Ernie Kovacs Reacts to Florence Foster Jenkins』。アメリカのコメディアン・俳優・作家。ブラックジョークの天才。

▲12月に公開予定の映画『FLORENCE FOSTER JENKINS(原題)』の予告編。主演はMeryl Streep(メリル・ストリープ、Hugh Grant(ヒュー・グラント)。

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