2016年05月02日

人生処方箋(36)久保浩 霧の中の少女

 おそらく少女は、不治の病で死んでしまったのだろう。生前の面影が心に焼き付いていて、いくら泣いても泣き足りない。

 ついには「お呉(く)れ 答えて 愛してますと」などと、文法もひっくり返っちゃうから、ココロここに在らずといった気分なんだろうな。

 とにかく霧の中だったり、花が散ったり、寂しいったらありゃしないのだが、久保浩の淡々とした歌いぶりが心地よく、素直に目の前に情景が浮かぶ。

 今どきのカン違い歌手だったら、おそらく感情たっぷり、大げさに嘆いてみせるはずだから、聴き手は鼻白むばかり。ダレとは言わないけど。

 でもね、久保浩風にカラオケで歌ってみても、味気ないただの歌になってしまうからシャクにさわる。

 昔の歌手は偉大なのである。

▲久保浩『霧の中の少女』。作詞/佐伯孝夫、作曲/吉田正。昭和39年6月発売。文語調だが、今どきの中高年には違和感なし。さすがに青少年は「超イミフじゃね」となるか。

posted by sankiyou at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 人生処方箋

2016年05月04日

人生処方箋(37)牧葉ユミ 回転木馬

 昭和40年代中ごろ、青少年の間で夏の新島(伊豆諸島)がブームになったことがあった。竹芝桟橋から約3時間、民宿泊りの貧乏ツアーだが、解放感につつまれて海浜で大はしゃぎ。

 はしゃいだついでに恋が芽生えること数多く、往路はひとり、復路はふたり。新島行きの目的が、ガールハントにボーイハントだったから、がってん承知の助というわけ。

 さて『回転木馬』。新島かどうかは不明だが、淋しくなって夜の海辺をお散歩する少女、岩場あたりでギターつま弾く青年と鉢合わせ。

 中高年だったら「おばんです」で済むところ、「不思議なめぐり逢い」に感激した少女は「素晴しい何かが始まる」と思い込んでしまうから早合点はなはだしい。

 でも、相手の気持ちを思いやることなくマイペース・・・だと思っていたら、さにあらず。なんと朝日が昇るまで肩ならべ、ついには「くちびるかさね」ちゃったというから、あぁ驚いた。青年も満更じゃなかったのね。

 というわけで、恋愛には自己中が功を奏することもあると覚えておこう。

 前述の新島だが、せっかく仲良しになったふたりだが、手をつなぐこともできず、ようやく夜行バスで行く富士急ハイランドのアイススケートリンクで手と手が合体・・・という人がいた。

▲牧葉ユミ『回転木馬』。作詞/片桐和子、作曲/ボブ・ボーグル。昭和47年6月発売。作曲者はザ・ベンチャーズのベーシスト。本人演奏ではないと思うが、ベースラインも心地よい。

▲牧葉ユミ『見知らぬ世界』。作詞/こうじはるか(植田嘉靖)、作曲/植田嘉靖。昭和47年1月発売。作詞作曲の植田嘉靖はスゥイング・ウエストのリードギター。本来はボーカルの湯原昌幸用につくった曲らしい。だから男歌だ。

posted by sankiyou at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 人生処方箋

2016年05月06日

人生処方箋(38)小山ルミ さすらいのギター

 あんたに「すべてを奪われた」と言うから、あたしの青春を返せと抗議するのかと思ったら「これが愛なのかしら」だって。しかも、巡り合えたのは「運命」とまで言い切っているから、もう手におえない。

 問題は相手。こういうパターンの場合、恋愛にマイペースなオトコが多く、ときにはつれなく、ときにはぞんざいな対応をするから、なおさらオンナは夢中になる。

 妻帯者の実家に同道したタレントがいたが、当初はこのパターンだったのだろう。妻がいるから、ときにはつれなく、ときにはぞんざい。でも、卒論が提出されたとたん、オンナにぞっこんとなる可能性が大。

 となると「なんだか違う」・・・となるのがオンナ。去れば追う、追えば去る。恋愛の道理である。

▲小山ルミ『さすらいのギター』。作詞/千家和也、作曲/J.A.Schatrow。昭和46年6月発売。小山ルミの父親はアイルランド人の軍人、母親は日本人。加藤茶とのウワサがあったが、人気が衰えることはなかった。

▲松竹映画『ケメ子の唄』のケメ子(小山ルミ)。昭和43年封切。

posted by sankiyou at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 人生処方箋

2016年05月08日

人生処方箋(39)岡崎友紀 なんたって18歳

「高校教師(真田広之)と女生徒(桜井幸子)の愛」という禁断のテーマを描いた『高校教師』は平成5年に放映されたTVドラマ。世間からは不謹慎と言われつつも大ヒットした。

 その23年前の昭和45年、「高校教師(石立鉄男)と女生徒(岡崎友紀)が秘密の夫婦」という設定のTVドラマ『おくさまは18歳!』は、「愛」どころか「夫婦」なのに不謹慎とは言われず、大ヒット。

 シリアスドラマとラブコメディの差なのだろうか、それとも昔は世間がおおらかだったのだろうか。いずれにしても明るく笑い飛ばしてしまえば問題なし。独身の英語教師渋沢民子(冨士眞奈美)が世間を代表してジャマをしていたけど。

 これで一躍国民的アイドルの座を確立した岡崎友紀だが、昭和46年からスタートした第2弾『なんたって18歳!』で再ブレイク。同45〜49年までのブロマイド売上月間1位獲得数(マルベニ堂)は、なんと連続46か月首位をキープ。ちなみに2位大場久美子27か月、3位山口百恵24か月だった。

 さて『なんたって18歳!』だが、「窓から覗いていただけじゃ人生はわからんぞ」「昨日を思い出していただけじゃ人生わからんぞ」という前向きな姿勢が美しい。中高年は身につまされる。

 でも結局、「すてきな愛を見つける」のが目的だから、やっぱ「なんたって18歳」。最後に中高年は突き放されるのであった。

▲TVドラマ『なんたって18歳!』第47話より。作詞/高木飛鳥(岡崎友紀)、作曲/菊地俊輔。昭和46年11月5日発売。高木飛鳥は『おくさまは18歳!』のときの役名。ロケ地、新宿京王百貨店前あたり。八十二銀行新宿支店は新宿センタービル35階に移転した。

posted by sankiyou at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 人生処方箋

2016年05月10日

人生処方箋(40)三田明 若い港

 中高年にしかわからないと思うが、三田明は『ホイホイ・ミュージック・スクール』で作曲家吉田正に認められて芸能界入りしたらしい。15歳のときだ。

 それまでの美男子の概念は眉目秀麗、精悍、端正といったものだったが、三田の登場により少年特有の清楚で清明な初々しさが脚光を浴びるようになった。つまりアイドル誕生。

 出だし、いきなり「よ〜んでるぜ よんでるぜ〜♪」で始まる『若い港』は、曲名より出だしのほうに馴染みがあり、おそらく今どきの中高年も曲名だけではわからず、出だしを聴けば脳内に「七つの海が〜♪」と響き渡るに違いない。

 デビュー曲『美しい十代』の愛らしい世界とは異なり、世界の海から呼ばれちゃうほどの気宇壮大な内容も、三田(17歳)だったから堂々と歌えたのだと思う。

 ためしにyoutubeとともに小声で歌ってみると、ホントに七つの海から呼ばれているような気分になってくるから不思議。

 世間に対して委縮気味の中高年諸君、「よ〜んでるぜ よんでるぜ〜♪」で威勢よく生き抜こう。とにかく「潮路はラッパルまかせ♪」なのだ。ラッパルってなに・・・などと考えず、ラッパルにまかせよう!

▲映画『若い港』(日活/監督:柳瀬観/昭和39年5月公開)。主題歌:三田明『若い港』。作詞/宮川哲夫、作曲/吉田正。映画に登場するのは山内賢、和泉雅子、伊藤アイ子、平尾昌章、西尾三枝子など。もちろん三田明も。

posted by sankiyou at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 人生処方箋