2015年12月02日

ハミ出しGS大全(45)ザ・ボルテイジ 汐鳴りの幻想 昭和43年

 昭和43年2月、池袋の音楽喫茶ドラムから活動をスタートしたザ・ボルテイジだが、翌44年秋、深刻な事情により解散してしまった。

 実質活動期間は1年半ほどだが、それでもシングル3枚、アルバム1枚を残しているから、順風満帆だったと言えるだろう。

 中でも解散間際の昭和43年8月にリリースされたGSによるR&Bのカヴァーアルバム『R&Bビッグヒット』は、彼らの実力ぶりがいかんなく発揮されていて、聴いていて楽しい。当時のGSグループとしては珍しく、ブラック・ポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶりが顕著だった。

 ただし、シングルとなると雰囲気は一変。R&Bとは無縁だと思われていた「こぶし回し」が登場し、摩訶不思議な空間が広がるのだ。

 極め付けは3rd『汐鳴りの幻想』。ウワサによると本人たちはイヤがっていたそうだが、なんのなんの、そのまま突き進んでいけば新境地開拓。ニッポンR&Bの元祖になったかもしれないのである。

 解散に至る深刻な事情だが、GSブームに陰りが見えてきた昭和44年秋、婦女暴行の容疑でグループから3人の逮捕者を出してしまったのだ。

 当時の週刊誌によると、同年2月と3月、ファンの女の子を言葉巧みにアパートや事務所に連れ込み、集団で乱暴した事件だったらしい。

▲2nd『トゥデイ』。昭和43年11月発売。作詞作曲/利根常昭。ヴォーカル橘洋介の歌い方が特徴的。こぶし回したっぷりのR&Bなのだ。

▲B面『ナンシー・アイ・ラブ』。作詞作曲/利根常昭。ホーンセクションが参加。第二のキングトーンズになりたかったんだろか。

▲3rd『汐鳴りの幻想』。昭和44年4月発売。作詞作曲/利根常昭。エンヤートットGSと揶揄される曲。本人たちも幻想であってほしいと思ったに違いない。

▲アルバム『R&Bビッグヒット』。昭和43年8月。Otis Redding『The Dog of the Bay』のカヴァー。

▲同アルバムからWilson Pickett『Mustang Sally』のカヴァー。

▲同アルバムからjames Brown『It's A Man's Man's World』のカヴァー。ヴォーカルはドラム金剛文裕。

▲同アルバムからTemptations『My Girl』のカヴァー。
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2015年12月04日

ハミ出しGS大全(46)ザ・サマーズ 朝から晩まで 昭和43年

 GSブームが本格化し始めた昭和42年頃、洋楽と邦楽のレコードセールスは逆転した。洋楽に代わり、和製ポップスが頭角を現しはじめたからだ。

 世間の好景気にともないレコード市場も拡大。新興の中小レコード会社が乱立し、それまで業界を牛耳ってきた大手レコード会社も安穏とはしていられなくなった。

 とにかく新人発掘が急務。金の卵を他社に捕られてなるものか。東にテケテケが聞こえれば東奔、西にトンストトンが聞こえれば西走といった按配。

 そんな頃、シングル『朝から晩まで』を自主制作したのが道産子6人組のザ・サマーズ。センスを感じる曲名だが、彼女と「朝から晩まで」一緒にいたってアキないという内容。それがどうしたとツッコミをいれてはミもフタもなく、コミカルなカレッジソングだと思えば楽しめる曲。

 その後はラッキーだった。自主制作盤がコロムビアの特販扱いだっため、すぐにコロムビア本社に目を付けられ、昭和43年10月にデノンから『たった一言』でメジャー・デビューのトントン拍子。

 ただし、東京のジャズ喫茶にも出演するようになったものの、人気の中心は道内だけだったのが悲しい現実。せっかく全国区になったのに、金にはなれなかったのである。

▲自主制作盤『朝から晩まで』。昭和43年発売。作詞作曲/沢ケンジ(bs)。もう少しばかりハードさがあってもよかったのでは。妙に軽い。ドゥルットゥル、ドゥルットゥルルゥ〜♪

▲B面『あなたのそばが』。作詞作曲/沢ケンジ(bs)。ベースで始まるイントロが秀逸。A面よりノリがいいのだが、変化に乏しく、聴いているうちに単調に感じてしまうのが難点。

▲デビュー盤『たった一言』。昭和43年10月発売。作詞作曲/沢ケンジ(bs)。心地よい曲だが、3年前にヒットしたLenne & The Lee Kings『Stop the Music』に似たメロなのが残念。

▲B面『今も・・・』。作詞作曲/沢ケンジ(bs)。若さはじけるツイン・ヴォーカル。イイ線いっているのだが、やっぱり途中から単調に感じるようなる。譜割りの問題か。

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2015年12月06日

ハミ出しGS大全(47)ザ・ヴァン・ドッグス 熱い砂 昭和42年

 飼っているボクサー犬の名前が“VAN”。ということでグループ名がザ・ヴァン・ドッグス・・・と、ここまではいいのだが、その犬をステージに上げて演奏したというからビックリ。

 途中で演奏を止めてしまい、ついには舞台から引っ込んでしまったり、あるいは客にケンカを売ったりするパフォーマンスとくらべたら可愛い感じもするが、音楽に合わせて犬が踊るわけでもなく、意味不明なのだ。

 昭和42年7月、『熱い砂』でレコード・デビュー。さすが経験豊富なメンバーが多いだけあって、そつのない演奏で聴きごたえ十分なのだが、バタ臭い楽器を使っているわりには和風のテイストに満ちていて、中でもピロリーッ♪で始まるオルガンの大活躍が特徴的。せっかく音数を減らし、サビの効果を狙ったところでも、ピロピロとオルガンは踊る。

 2ndは『ヘイ・ガール』。イタリアのグループI Ribelliの『HEI VOI』をカヴァー。ここでもオルガン大活躍。それはいいのだが、なんだか曲調が暗い。おそらく、曲の入り口から続く低音のユニゾンが原因かも。弾けるようなノリを期待すると肩透かしをくらうのだ。

▲「グループサウンズ その2」からデビュー盤『熱い砂』。35:03〜最後。昭和42年7月発売。作詞/橋本淳、作曲/田代久勝。妙にハモらず、ソロ・ヴォーカルのほうがよかったのでは。

▲2nd『ヘイ・ガール』。昭和42年8月発売。作詞/池ひさし、作曲/ M.Dotto。I Ribelli『HEI VOI』のカヴァー曲。間奏にファズ、そしてピロピロとオルガン。

▲本家I Ribelliの『HEI VOI』。屋外で収録したフィルムだが、周りを取り囲む観光客などがア然としているのが愉快。本家のサウンドのほうが爆発力がある。しかたがないか。

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2015年12月08日

ハミ出しGS大全(48)レオ・ビーツ 霧の中のマリアンヌ 昭和42年

「霧の・・・」とくれば『霧の中の少女』(久保浩)か『霧の摩周湖』(布施明)。残念ながら『霧の中のマリアンヌ』は思い浮かばない。レオ・ビーツのデビュー曲(昭和42年12月発売)なのだが、世間の印象は薄かったようだ。

 でも、あらためて聴いてみると、結構、イカしているから売れなかったことが不思議。ドラムソロで始まるイントロはボサ・リオ『サンホセへの道』を思わせるが、しばらくしてマイナーコードのオルガンが参入してくるあたりから、雰囲気は一気に「霧の中」。ヴォーカル西信行のクールな歌声が心地よく響く。

 B面『恋に生きる』は、かなり流行歌っぽいのだが、それがイヤ味に感じないのは、センスのよい演奏のおかげなのだろう。この時期、多くのGSグループが生まれたが、これほどアカ抜けた演奏をするグループはいなかったのではないか。

 当然ながら、レコード会社も放っておかない。より宣伝広告に力を入れ、リリースの間隔を短くした・・・のではなく、有名歌手のアルバムにバッキング担当として参加させるようになたのである。たとえば木の実ナナのアルバム『Let's Go Nana』(昭和43年5月発売)、奥村チヨのアルバム『涙いろの恋』(同43年7月発売)など。

 もちろん、バッキング担当の間もシングルを発表していたのだが、ついに4枚目の『君に幸せを』(昭和44年2月発売)で力尽きてしまった。生き残り戦術としてGS路線から一線を画したのはいいけれど、あまりにムード歌謡に傾きすぎたのが原因らしい。

 翌45年、女性ヴォーカル3人が加わり、ルートNo.1と改名して再デビューしたものの、3枚のシングルを残して終わってしまった。

 その後、再編して再々デビュー。そのときの名前は、里見洋と一番星。演歌でもやりそうなネーミングだが、演歌は演歌でもショッキング演歌。昭和46年にリリースしたアルバム『一番星/新盛り場ブルース』では、ド胆を抜くアレンジとパワフルなヴォーカルで驚かせたのだが、驚いた人は少数だったようで、セールスには結び付かず、同48年に解散してしまった。

 タイムマシンが発明されたら、いの一番に彼らのライヴステージに駆け付けたいと思う。

▲デビュー盤『霧の中のマリアンヌ』。昭和42年11月発売。作詞/橋本淳、作曲/すぎやまこういち。演奏もいいが、ヴォーカルもいい。完成度の高い曲だ。

▲B面『恋に生きる』。作詞作曲同じ。歌謡曲なのに、見事にGSなのだ。音のバランスもいい。

▲アルバム『Let's Go Nana』(木の実ナナ&レオ・ビーツ)から『好きさ好きさ好きさ』。昭和43年5月発売。本家の演奏よりいいかも。

▲アルバム『幻のアマリリア』(奥村チヨ&レオ・ビーツ)から『北国の青い空』。昭和43年7月発売。これも演奏バツグン。

▲昭和45年、ルートNo.1と改名後にリリースした『恋の246』。作詞/山口あかり、作編曲/小谷充。学園ドラマの主題歌のような感じ。レオ・ビーツの本領発揮とはいかず。

▲昭和46年、里見洋と一番星で再々デビュー。唯一のアルバム『一番星/新盛り場ブルース』から『新盛り場ブルース』。作詞/阿久悠、作曲/城美好、編曲/小谷充。さすがショッキング演歌。大胆不敵でいい。

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2015年12月10日

ハミ出しGS大全(49)ポニーズ 雨降る街角 昭和43年

 新宿西口大ガード、緑屋の先の小さなビル。その地下にフォーク喫茶フォーク・ビレッジがあった。そこの社長の肝いりで、複数のグループからお気に入りをチョイス、新たに結成したのがポニーズ。昭和42年10月のことだ。

 翌43年8月、コロムビアから『ブルー・エンジェル』でレコード・デビュー。10月にはモンキーズ日本公演の前座を務めるなど、順風満帆、前途洋々を予感させたものの、人気は局地的。全国区とはならなかった。

 同年12月、2ndシングル『雨降る街角』をリリース。イントロがThe Cascades 『悲しき雨音(Rhythm Of The Rain)』(昭和37年発売)に似ているから、以降の展開がどうなるのかと期待ワクワクとなってしまうが、サビの部分が歌謡曲風なだけで、劇的な展開はない。

 甘口のヴォーカルが乙女ウケしそうな気もするが、流行歌ならいざしらず、GSグループでは乙女の琴線に触れることはなかったのだ。

 それよりB面の『アガナの乙女』がおもしろい。なんとシタールが登場するのだ。ただし、シタール効果はなし。どうせならThe Byrds『Eight Miles High』のようなラーガ・ロックにすればよかったのに。

 結局、2枚のシングルをリリースしたのち、解散してしまった。残念。

 ちなみに前述の緑屋とは、月賦販売の百貨店のこと。同業他社に「クレジットの丸井」があったが、こちらは「ホームビルの緑屋」。当時の若者は、流行のファッションを月賦で買うのが当たり前だった。丸井は生き延びたが、緑屋は業績不振で昭和52年に閉店してしまった。こちらも残念。

▲2ndシングル『雨降る街角』。昭和43年12月発売。作詞/湯川礼子、作曲/浜圭介。『悲しき雨音』のイントロに似ているが、爆雷も雨の音もなし。

▲B面『アガナの乙女』。作詞作曲同じ。アガナってなんだ? 曲中、マリアンヌも登場する。シタールと関係あるのかないのか不明。

▲The Byrds『Eight Miles High』。昭和41年リリース。12弦ギターで奏でるラーガ・ロックの先駆け。

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