2015年10月02日

ハミ出しGS大全(18)ジ・アップル 王女の真珠 昭和43年

 昭和43年9月、フィリップスから『王女の真珠』でデビューしたジ・アップルは、佐伯一郎歌謡教室(浜松)の生徒たちが結成したグループ。意味がよくわからないが、「アップル・エイジのアイドル」というのがキャッチ・フレーズだった。

 メンバー全員が歌謡学校の生徒、しかも「歌う作曲家」佐伯一郎先生の作曲だから、歌謡曲とGSが見事に融合したバリバリの歌謡GSに違いない。ひょっとすると『恋の季節』『星影のワルツ』『小樽のひとよ』『ゆうべの秘密』など、簡単に追い越してしまったのでは・・・と、思ったのは早計。オケバックのなんてことないGSだった。

 というわけでアップル・エイジの共感も得られず、作戦変更。2ndシングル『夕日のふるさと』のキャッチ・フレーズは「ジ・アップルが贈るニュー・フォーク・サウンド」。歌謡がダメならフォークがあるさ、なのだ。

 さらにジ・アップルではなく、「オチ、ジュンとジ・アップル」にグループ名変更。オチとは越智まもる(vo)、ジュンとは水野じゅん(key)のこと。要するに、ザ・タイガースが「ジュリーとザ・タイガース」になったようなものだが、残念ながらオチおよびジュンのことを知っている人が少なすぎた。人気出ず、解散してしまった。

▲デビュー盤『王女の真珠』。昭和43年9月発売。いたってフツーのGSだ。

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2015年10月04日

ハミ出しGS大全(19)ザ・クローズ 愛しているから 昭和43年

 昭和42年、東京目黒第十中学校時代の同級生で結成されたのがザ・クローズ。翌43年、コロムビアからデビューするとき、一人を残し、他のメンバーは入れ替えられてしまったらしいけど。

 都内の音楽喫茶やジャズ喫茶などとは無縁で、目立った活動の痕跡なし。というわけで、世の中に出たのはデビュー盤『愛しているから』1枚だけ。

 作詞作曲佐々木勉。さわやか感たっぷりの青春歌謡だが、イントロからブラスが割り込んできて、妙な感じ。ついにサックスが歌のまわりに絡みつき、GSの印象を思いっきり希薄にしているのが残念。

 おそらく、そこそこ売れるハズだと思ったのだろうが、時期が悪かったと思う。GS黎明期とは異なり、少女たちの耳も肥えてきた頃だから、出せばヒットというわけにはいかないのだ。

▲デビュー盤『愛しているから』。昭和43年2月発売。作詞作曲佐々木勉。サックス大活躍。

▲B面『恋人マミー』。これも作詞作曲佐々木勉。ポップな感じで、いい感じ。サックス、いらなかったと思う。

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2015年10月06日

ハミ出しGS大全(20)フィフィ・ザ・フリー おやじのロック 昭和43年

 昭和42年2月、大阪でヘンな名前のグループが登場した。メンバー全員、大阪芸大軽音楽部の部員で構成されたフィフィ・ザ・フリーだ。

 当初はフイフイ・ザ・フリーと表記していたらしいが、いずれにしても、横文字氾濫の今どきでも覚えにくいったらありゃしない。「フィフィのライヴ、行かへん?」のように、略して呼ばれていたのかもしれない。

 気になる名前の由来だが、The Holliesの4枚目のアルバム『Would You Believe?』(1966)に収録されていた『Fifi the flea』から拝借したのだそうだ。「ノミのフィフィ」ね。

 主な活躍場所が大阪だったから、関東地方の青少年には馴染みがなかったかもしれないが、演奏センスはバツグン。さらに、ソロヴォーカルもコーラスも優れていた。後年、宮田工業(自転車)のCMソング「すばらしきGT」を演奏しているが、グッドなのだ。

 デビューのきっかけは、関西のラジオ局から流れてきた彼らの『おやじのロック』を聴いた業界人が、「エェやんか」「アングラ・ブームに乗れまんがな」となったから。というわけでデビュー盤は『おやじのロック』(昭和43年6月発売)。

 タイトルから想像すると、若ぶったオヤジがノリノリのロックを奏でるような感じなのだが、そうではなかったから残念。赤ちゃんのおもちゃガラガラから始まるところなど、スパイクジョーンズや三木鶏郎を彷彿とさせる演奏ぶりなのだが、歌詞が情けないからまいっちゃう。要するに、今どきの若いモンは・・・というグチなのだ。おやじのグチ。

 以降昭和46年まで、5枚のシングルを出すものの、パッとせず消えてしまった。実に残念。

▲デビュー盤『おやじのロック』。作詞/生方めぐみ、作曲/松田篝。演奏も歌もうまい。

▲3rdシングル『栄光の朝』。昭和44年11月発売。作詞/山上路夫、作曲/村井邦彦。GSとは言えないかも。

▲グループ名に拝借したThe Holliesの『Fifi the flea』。この感じでデビューすれば、その後は変わっていたかも。

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2015年10月08日

ハミ出しGS大全(21)サ・キングス 空と海 昭和42年

 きっかけはビートルズ。レコードを聴いた滋賀大津のいたいけな青少年たちは、感涙にむせびながら「オラたちもやんべ」。ということで昭和39年、ザ・キングス結成。苦労して楽器を手に入れ、ビートルズの耳コピにはげんだ。

 同年9月、好機到来。京都のジャズ喫茶「ベラミ」で初舞台。以降、大阪「ナンバ一番」のオーデションにも合格するなど、活動の幅を広げる。

 昭和40年9月、後輩のザ・ファニーズがザ・ブルージーンズと共演(ナンバ一番)。それを見ていた内田裕也が「一緒にやろうぜ、シェケナベイビ〜♪」。翌41年11月、後輩バンドは東京に拠点を移すことになる。

 後輩たちは恵まれていた。同42年1月15日からの「第31回 日劇ウエスタン・カーニバル」に出演したのだ。ザ・ファニーズではなくザ・タイガースという名前になっていたけど。上京2か月後のお話。

 どうする、残されたザ・キングス。当然ながら「やっぱ東京だべ」となり、同42年2月、そろって上京することになる。で、苦節7か月。9月に待望のレコードデビュー。ポリドールから『アイ・ラブ・ユー』が出たのだ。

 問題はここから。ビートルズに感涙したのに、デビュー盤は伝統的なコーラス歌謡。少なくとも乙女ゴコロはくすぐらず、後輩バンドの足元にも及ばないセールスに終わった。この段階で、福井利男(bs)と岩田裕二(ds)が脱退。彼らは、のちにオックスを結成することになる。

 翌43年、新たにメンバーが加わり6人編成で再スタートしたものの、渋さだけが目立っただけで、相変わらず乙女ゴコロとは無縁の存在となってしまった。オックスは成功したが、ザ・キングは消滅してしまった。

▲デビュー盤『アイ・ラブ・ユー』(昭和42年9月発売)のB面『空と海』。作詞作曲/松田篝。オルガンがいい味を出している。

▲2ndリリース『真昼の星のように』(昭和43年3月発売)。作詞作曲/利根常昭。上田耕三(lg)とボビー・ライト(vo)が掛け合いのソロで歌う寂しいスロー・バラード。

▲『真昼の星のように』のB面『心の底から』。作詞作曲/利根常昭。適度にビートが効いていて、ノリがいい。最初からコレ風にすればよかったのに。

▲3rdリリース『ララの秘密』(昭和43年10月発売)。作詞/中西れい、作曲/村井邦彦。ハープシコード登場。さすが職人村井邦彦、すてきな歌謡曲だ。

▲『ララの秘密』のB面『ファニーの恋人』。作詞/渡辺研一、作曲/村井邦彦。どこかで聴いたようなフレーズ満載。軽さがたまらない。

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2015年10月10日

ハミ出しGS大全(22)ザ・リンド&リンダース 恋にしびれて 昭和43年

 デビュー盤『ギター子守唄』(昭和42年2月発売)のジャケ裏に、次のような解説がある。

<大阪のスパイダースと云われ、そのパンチのきいたサウンドと最高のカッコ良さで関西のティーン・エンジェル達の圧倒的な人気を誇るこの「ギター子守唄」の作者加藤ヒロシをリーダーとする7人組のエレキ・グループ、ザ・リンド・アンド・リンダースのエレキ部門4人組がこのザ・リンダ>

「大阪のスパイダース」とは失礼な表現だが、サ・リンダがデビューする2年前の昭和40年5月にザ・スパイダースが登場しているから、しかたがないかも。といっても、デビュー盤がリリースされるのが遅かっただけで、ザ・リンダの結成は同40年8月だ。

 元々、ジャズ・ギタリストだった加藤ヒロシだから、にわか仕込みのGSお坊ちゃんたちとは実力が異なる。GSに対抗するためにボーカル部門のリンダースを加えたが、骨太の重厚なサウンドはそのまま。ザ・スパイダースがお坊ちゃんに思えてしまうのだ。

 ただし、全国ナンバーワンではなく関西ナンバーワンで終わってしまった。ウワサによると、ステージ上で出前のラーメンをすすり始めるなど、なにかと奇行が多く、世間様から盛大な顰蹙をかってしまったらしい。というわけで昭和44年ごろに解散してしまった。

 でも加藤ヒロシは実力を買われ、GSブームが去ったあとも業界で大活躍する。

▲デビュー盤『ギター子守唄』(昭和42年2月発売)。作詞/寺山修司、作曲/本居長生。歌っているのは加賀テツヤ。

▲4枚目シングル『銀の鎖』のB面『恋にしびれて】(昭和43年1月発売)。作詞作曲/利根常昭。ストリングスが入っているがビート感たっぷり。加藤ヒロシはすごいと思う。

▲プロレスラー藤波辰巳のテーマ曲『ドラゴンスープレックス』。演奏はJOE。加藤ヒロシが率いるバンドだ。

▲山口百恵初のロンドン録音『東京の空の下あなたは』。加藤ヒロシグループが全面サポート。ただしレコードは発売されず、幻の音源となってしまった。

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